オンライン・レッスンの効果について

コロナ規制に合わせて4月初めからオンラインレッスンを週2回のペースで始めました。ここ2-3年海外へ行くことで普段のクラスをキャンセルせざるを得ない状況が増えてきていたので、このアイディアは心の内では温めていたところでした。さて、受講者の方々からこれまで大変良いフィードバックをいただいているので、皆さん、身体面では普通にヨガ教室に来られてと同様に効果を感じられているものと思われます。それで、この場では、「オンラインレッスンから起こる心理的な効果」ということで思うところを述べたいと思います。

私が沖先生から習ったことの一つは、ヨガは究極的に「自分自身の内にある貴いもの(アートマン)と、宇宙の森羅万象を存在させ生じさせる自然法則(ブラフマン)は同じものであるということを把握しつつ、自分が自分の主になっていくこと」を教えるものである、ということです。この太字部分を沖先生は独特の表現で「生命即神」と言われました。そして、このように各人が自分自身の主になる修業をしながら、お互いを敬い、助け合い、ともに発展していくことが理想的な人間社会であるというのが沖ヨガの教えです。

一回が90分のオンラインレッスンを流しながら、私は、このやり方は、私たちの意識を上記のような方向へと高める路線においてでずいぶんと役に立つ方法だなと思っています。そう思う理由を以下に二点書きます。

1.英語のことわざに「馬を水のある所へ連れていくことはできるが、水を飲ませることはできない」というのがあります。そのように、「何事でもなして効果を得るには、自分が意識的にやろうと思って取り組まねばならない」ということには、基本的な重要性があります。オンラインレッスンに参加するにしても、これまでの日常生活の段取りを変えたり、自分にとって大切な「自分の時間」をくれるように家族に協力を頼んだり、落ち着いた環境でレッスンに入れるよう部屋の準備をしたり、必要物をそろえたり等々、家をパッと出て、もう全部整っているヨガ教室に行くのとは違います。まとめて言うなら、たとえ90分であれ、自分の大切な特別の世界に入るには、それが可能になるように、あらゆる方向から自分自身が能動的に準備をしなければならないということです。大変でしょうか?でも、こういう自立性を少しずつ積み重ねていくこと自体がヨガの訓練ではないでしょうか。その積み重なりが自分の内でどう発展するか想像してみてください。すごい力になるのではないでしょうか。

2.オンラインレッスンでは、私は受講者の間を回って、個々に、体の位置角度やスピードや強度のアドヴァイスはしません。その代わり、受講者の皆さんが、私が角度や位置を微妙に変えて比較するデモンストレーションを観察し、少しの違いで派生する内部感覚の違いへの示唆を注意深く聞き、そして最終的には自分の身体を通して起こる内部感覚と対話せねばなりません。こうした「注意を向け聴く耳を澄ます」練習は、身体に重きを置いた体操が「ヨガの訓練」になるための非常に大事な要素だと思います。身体を入り口として意識力を発達させることで、心身霊に渡る人間存在のあらゆるレベルを統合することがヨガの方法です。一回ごとは短いレッスンであっても、そういう方向を見ながらやっていきたいと思っています。

私のクラスにレギュラーに来られていた人が全員参加というわけではありません。「ヨガのレッスンにテクノロジーを使って参加するのはどうも…」という方もおられるでしょう。個々に合う合わないがありますから、それはさておき、今のところ、大変良い面が見えるので、見直し工夫を重ねながら、大いに発展させていきたいと思っています。そのうち国境を超えた小さい集いになればいいなと思っています。

オンライン・レッスンの効果について」への7件のフィードバック

  1. 福元さんのFBでこの知り、コメントさせて頂きました。
    本当にその通りだと思います。
    私も、Zoom を使って大切な方々にレッスンさせて頂いております。
    このまま、いつ解除になるか分からないで何もせずに過ごすより、
    今出来る事を、人の役な立つ事をしていこう。と思ったことは
    自分の力に繋がる‼️
    という言葉に勇気をいたたきました。
    ありがとうございます?

    • コメントありがとうございます。今不都合であり悪く見えることでも、その機会をとらえて工夫する力も私たちには与えられていますよね。それを通じて、また新しい出会いもあったりして、いいことも出てきます。「良し悪し」に見える現象の奥で働いている自然の理に素直に沿っていくことができるように心身生活の条件を整えていくことが、ヨガの道だろうと思います。

  2. Thank you for writing this. Beautiful inspiration for learning to be in this “on-line” world right now

    • Thank you for your comment. Yes, it is possible to do like this without relying on a physical yoga studio, and it cultivates another aspect of our consciousness. On the other hand, I am aware that online lessons don’t function if the internet stops. Since the corona lock-down started, many activities are relying on the internet. So, although in a very small, I am trying to reduce my ‘Youtube-watching’ time and SNS activities. Say, it is like Oki-yogic balance. Even if it’s just a gesture, influence will be large to my awareness.

  3. 上は、Louisa Kolegaさんから英語でコメントいただいたので、英語で返信しましたが、ここは日本語ブログなので、おなじことを日本語で書いておきます。
    まず、「このオンライン・ワールドに入って学べることに素晴らしいインスピレーションを感じます」と言われています。森朝子:コメントありがとうございます。はい、このようにして実際のヨガスタジオがなくてもやることができますし、私たちの意識層の別の部分を養うこともできます。他方、私は、オンラインレッスンはインターネットが止まったら機能しないということも気に留めています。なので、小さいスケールではありますが、自分のユーチューブを見る時間やSNSの時間を減らすよう頑張っています。沖ヨガ式バランスとでも言いましょうか。それ自体はただのジェスチャーだとしても、やはり、自分の意識への影響は大きいでしょう。
    では、皆様、元気で工夫しながら頑張りましょう!

  4. オンラインレッスン、、何もしないよりは、、と思いますが、私は苦手なのです。
    特に、3次元の動きを2次元でとらえるわけですから、「生の」映像を知っていていれば、補完できるのでしょうけれど、、、私には、別物で、、心が動かないです。修行が足りない!のかもしれません。
    オンラインで世界中の多くの人がアクセスできるということは、メリットあり!とは思いますが、、 

    • 内田さん、コメントをありがとうございます。人により、オンラインレッスンを苦手と感じることは理解しています。対面クラスにずっとレギュラーに参加していた人で「機械を通しては嫌」ということで初めから参加されない人も、オンラインレッスンを何回かやってみて止める人も、遠隔地の対面クラスには行けなかったけどこのチャンスはありがたいという人も、いろいろおられます。個性の別と受け止めています。
      内田さんがおっしゃっている「3次元の動きを2次元でとらえる」というのは視覚だけで物事をとらえる場合は当たっていますが、私はオンラインレッスンをそのように届けないよう努めています。例えば一度こういうことがありました。私のレッスンに参加されたある人は、画面が黒いままで2時間の間、声しか届かなかったそうです。レッスン中は何も不平もなくまた取り乱さず、終わって座談会に入ってから、「画面が見えず声だけが届いたけど、それもそういう練習の機会と考え、自分の心で動きを想像しながらやりました」と言われました。うなるほど感心しました。聴覚も物事をとらえるために働く1つの次元です。「左ひざを立てて下さい」と聞けば、見ないでも体験からそれがどういうことかわかります。
      そういう基本的な体の動きは3次元空間で見ないでもできますが、さらに、微妙な位置や角度で刺激が違ってくるので、「こういう角度ならこう感じるはずだが、ここにポイントを置くとこう感じるでしょう」と言った詳細な説明と、デモンストレーションと、受講者が自分の感覚を探るよう意識を促すことで、オンラインレッスンを行うよう努めています。対面クラスで3次元空間で指導員の動きを見ることができても、今述べたような内的な作業を受講者が意識せずに、形だけ真似るときは、無理が起こったり、効果が少なかったりします。また指導員が主に外見の形にとらわれて受講者の動きを直すときにも同じことが言えると思います。
      ヨガのクラスは「3次元空間で起こっている動きをとらえること」ではないという、もう一つの例は、私は6か月間片方の腕と肩が動かない時があってデモンストレーションがままならなかったのですが、対面クラスのレッスンを支障なく続けました。いろいろと補う要素を工夫することは勉強だと思っています。

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