健康生活の原理 – 3 /全3部

沖正弘先生監修の月刊誌「ヨガ」の昭和42年12月号における先生の文「健康生活の原理」の要約の続きで最終稿です。

1.  物の見方、受けとり方、感じ方の違いは全く別の世界を作り出す。例えば、

  • 環境を変えることが健康法だと思っていることと、自分を整えることが健康法だと思っていること
  • 自分を庇うことを衛生法と思っていることと、自分を庇わないことを衛生法と思っていること
  • 用心する事を養生法と思っていることと、用心しないことを養生法と思っていること
  • 一切の責任を他に見ることと、自分に見ること
  • 自分は弱いという考え方の前提に立つことと、自分は強いという考え方の前提に立つこと
  • 自分にはできないという思念に立つことと、自分にもできるという思念に立つことと
  • 相手を敵視することと、相手を善人・見方として見ること
  • 全ての現象を悪くなる前提として受け取ることと、全ての現象をよくなる前提として受け取ること
  • おかしいから笑い、悲しいから泣くと思っていることと、笑うからおかしくなり、泣くから悲しくなると思っていること

これらは言葉ではちょっとの違いのように聞こえるが、この違いが180度方向の違った世界を作る重要な岐路だ。ヨガでは、見方、受けとり方、扱い方の違いが自他の運命を決定するということを強調し、意識的に自己の言行を分析して、自他破壊的なものを排除して常に自他建設的な生き方を自己化していく努力を教えている。

2. 生きているということは、感じて動くということである。だから、感じる働きが鈍くなると、動けなくなり考えられなくなる。感じ方と反射方法とは刺激の加え方、訓練の仕方によって異なってくる。動くというのも、練習の結果であって、それは赤ん坊がよちよち歩いては転び転びして次第に上手に歩けるようになるのと同様だ。また、動き方が脳に刺激としての影響を与え、脳の内容の如何が感じ方と動き方の方向を決定する。このように、一挙手一投足が人間形成の上に重要な影響を与える。

3. ヨガでは「道を求める」とか、「道にかなう」ということを教えている。道とは、三密の状態のことだ。三密とは、正しい姿勢と、完全な呼吸と、バランスの取れた心の状態とが一つになって、目的とすることに当たっていることである。この三密の工夫が、健康の原理であり、同時に悟りへの門である。

ヨガは人生のコツを教えている。

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